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占いとカウンセリングって違うものでしょ?

では、いったいどこが違うのか。

 私のFB友達のI氏は、「占いカウンセリング」という言葉が気になっているといいます。そもそも「占いとカウンセリングは違うのか?同じなのか?」よくわからないよね、と。きっと、同じような疑問を感じている方もいらっしゃると思いまして、書いてみます。
 
 さて、結論から書きます。「占い」と「カウンセリング」は違うものです。
 
 わかりやすい例を挙げましょう。「下駄占い」を知っていますか? 「あ〜した天気にな〜あれ!」と下駄を放り投げ、その様子で、明日が晴れになるか、雨になるかを占うもの。かつては子供の遊びだったのですが、近代の子供たちは下駄なんて履かないので、そのような光景を一般的に見かけることはまずないようです。でも、下駄占いは「占い」です。それも、古来からの伝統ある占い!
 下駄を放り投げて表が出たら晴れ。裏返ったら雨。横倒しになったら曇り。占いというのは、あるロジックがあり、そのロジックに照らし合わせて特定の事象を占断することです。それが占いです。表→晴れ、裏→雨、横→曇り、と答えを提示するのが占いです。そして、占いの結果を提示して、そこで占いは終了です。
 その結果があたっているか外れているかは、下駄占いの場合には明日になってみないとわかりませんけどね。まあ、占いは、当たることもあれば、当たらなかった、ということもあるわけですから。
 
 では、カウンセリングとは何か。相談です。カウンセラー(counselor)って相談者のこと。「明日のお天気、どうなるかなあ?」という相談に「西の空に雲がかかっているけれど、夕焼けも見えているから、よくわからないね。」などと、相談にのってくれる人がカウンセラーです。相談しにやってくる人のことを、カウンセリー(counselee)と言いますが、まぎらわしいので、クライエント(client)と呼ぶのが一般的です。カウンセラーのお仕事は「傾聴」と「共感」。
 カウンセラーって心理学を扱う人のこと?と思う人も多いようです。たしかにカウンセリングという単語は、心理カウンセリングを意味することもあります。だからカウンセラー→臨床心理療法士。しかし、臨床心理療法士以外でも、カウンセラー(相談者)を名乗ることはできるのです。美容の相談につきあう美容カウンセラーもいれば、ダイエットのアドバイスをするダイエット・カウンセラーだっています。というわけで、占術を用いて相談を受けるのであれば、占いカウンセラーということになります。「占い師」ではかっこ悪いから、「フォーチュン・カウンセラー」と名乗っているという方もいらっしゃるようです。
 
 では、「カウンセリング」は占いじゃなの?という疑問が聞こえてきそうです。そうです、カウンセリングは占いではありません。さきほど書きましたように、「カウンセリング」は相談であり、基本は相談を聞く行為です。
 
(クライアント)「明日のお天気どうかしら」            
(カウンセラー)「西の空に雲がかかっていますね、雨かも知れませんね。」
(クライアント)「うわっ、困るわ。」               
(カウンセラー)「雨、降ってほしくないですね。」
(クライアント)「そうなの明日はハイキングだから」        
(カウンセラー)「いちおう雨具の用意をお忘れなく。」
(クライアント)「中止しようかしら」               
(カウンセラー)「そのほうがいいかも知れませんね。」
(クライアント)「でも、もう約束しているのよ」
 
 これがカウンセリングです。占いではありませんよね。まあ、お天気話はしていますが、下駄は投げていませんから、占いはしていませんね。
 カウンセリングを通して、クライアントは自身の状態を認識し、何が問題なのか、あるいはどうすべきなのかを整理しつつ考えていくものです。上の例で言えば、クライアントの目的は「明日晴れるかどうか」ではなく、「明日のハイキングに一緒に行こうと約束している人との関係性」が気になっていることが、しだいにはっきりとしてきました。まあ、明日晴れるかどうかなんて、占いではなく、気象庁の天気予報をみるべきであって、本題は「約束している人との相性」を占う方向になっていくのでしょう。
 実際には、占い鑑定で、この程度の会話を最初にすることはもちろんあります。「黙って座ればピタリと当たる」などと言いますが、実際には無言で占いに臨む人は、ほとんどいません。(注・たまにはいるようですが。)
 
 さらには、何らかのアドバイスが入ることもあります。
(クライアント)「明日の約束を中止したら、2人の関係性が悪くなりそう」  
(カウンセラー)「中止せずに、場所を変えることを提案してはどうですか?」
(クライアント)「ハイキングはやめるということ?」            
(カウンセラー)「雨が降っても楽しく過ごせる場所にしましょうよ」
(クライアント)「そうねえ、そのほうがいいかも知れないわね」
 
 占いの結果がおもわしくない場合も、アドバイスは付き物です。下駄占いでさえ、その手のアドバイスがちゃんと用意されています。
 「明日は雨」という結果にがっかりしたクライアントに、「では、照る照る坊主を作って、軒先に吊るして、明日晴れるようにお祈りしましょう。」と。といっても、これは、占いではなく、魔術、あるいはおまじない(呪術)ですけどね。
 さらには、カウンセリングの一環として、セラピスト(Therapist)、治療者が登場することもあります。
 「雨は憂鬱」というクライアントのために、憂鬱な気分を吹き飛ばすアロマオイルをアドバイスしてくれたり。セラピストにもいろいろいて、サイコセラピストやマインドセラピストは、心の状態を改善するためのテクニックを用いるセラピストです。アロマテラピスト(香りを使って心身の状態を改善する治療者)などもいます。
 
 というわけで、占いをする人は占い師(フォーチュンテラー)。相談を聞いてくれる人はカウンセラー。さらには、アドバイザー(助言者)、セラピスト(治療者)。ずいぶんいろいろな役割の人たちが登場するので、私もちょっと混乱しそうですが・・・。
 実際には、占い(フォーチュンテーリング)も、カウンセリングもアドバイスもセラピーも、渾然一体になっているのが、現代の日本の占い鑑定の実情なのです。ですから、「占い」と「カウンセリング」は違うものではありますが、でも、現実には一緒に提供されるので、なんか区別がつけにくくなってしまっているのですね。

占術研究家 秋月さやか

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