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火鼠の皮衣

狐と狸がここだけ占い話

 ここは古い鎮守の森。このあたりに住んでいる狐(きつね)、狸(たぬき)が、時々、顔を合わせてはよもやま話をする・・・そんな場所。
 それは、しんしんと寒さが染みる冬の夜。通りがかった狐(きつね)に、狸(たぬき)が声をかける。

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狸(たぬき)「寒いだろ、焚き火にあたっていかないか。芋も焼けてるぞ。」
狐(きつね)「お、いいな。しっかし、夜は冷えるな〜。」
狸(たぬき)「寒い時は焚き火が一番だな〜。」
狐(きつね)「焚き火もいいけどな、気をつけろよ。」
狸(たぬき)「んだな。狢(むじな)のやつ、焚き火にあたって尻尾が焦げたらしいぞ。」
狐(きつね)「ウール100パーセントだからって、燃える時は燃えるからな〜。」
狸(たぬき)「火は怖いな。でも、火事になっても燃えにくい布というのが、世の中にはあるんだとか、スマホのニュースで読んだぞ。」
狐(きつね)「ああ、不燃布か。まるでそりゃ火ネズミの皮衣だな。」
 
狸(たぬき)「え?火ネズミってなんだよ?」
狐(きつね)「天竺には火ねずみといってな、火の中に入っても平気なねずみがいるんだそうだ。」
狸(たぬき)「それ、山火事の時、ねずみが土の中にもぐるっていう話だろ?」
狐(きつね)「違う。火の中でも燃えない毛皮の鼠!」
狸(たぬき)「え?そりゃハリネズミか?アルマジロか?」
狐(きつね)「ま、とにかく。その火ねずみの皮で作ったのが、火ねずみの皮衣!それがあれば、燃える火の中にだって入っていけるんだそうだよ。」
狸(たぬき)「ほほ〜。なんだ昔からそんな便利なものがあったのか。」
狐(きつね)「いや、ないよ。」
狸(たぬき)「???」
狐(きつね)「あったらいいな、っていうファンタジー」
狸(たぬき)「ほら話か。嘘はいかんぞ。」
 
狐(きつね)「あのな、かぐや姫って知ってるか?」
狸(たぬき)「兎女か?竹から生まれて月に帰っていったバニーガールだろ?」
狐(きつね)「そう。かぐやバニーちゃんはだな、火の中に入れても燃えない火ネズミの皮衣を探してきてちょうだい、と男に言うのよ。」
狸(たぬき)「え?だってないんだろう?」
狐(きつね)「そんなものはないから、見つからない。」
狸(たぬき)「つまり、ないものを探せと?」
狐(きつね)「そう。」
狸(たぬき)「ひどい女だな〜。時々女ってわけのわからんこと言うよな。」
狐(きつね)「もしも探してきてくれたら、アナタとつきあってあげてもいいわよ、と言ったんだよ。」
狸(たぬき)「ということは・・・つきあう気はありません、ってこと?」
狐(きつね)「ピンポン!」
狸(たぬき)「・・・」
 
狸(たぬき)「つまり、その火ネズミってのはインチキなんだろう?」
狐(きつね)「うん。想像の産物だな。」
狸(たぬき)「やっぱりいないんだろ。しかし、なんだってそんなものを考え付いたんだ?」
狐(きつね)「あのな、ねずみって北だろ?そして水だろ?」
狸(たぬき)「ああ〜、だから燃えないってわけ?」
狐(きつね)「かぐや姫の物語の作者が誰かっていうのはわかってないんだけど、そいつは、十二支と陰陽五行を知ってたことだけは確かだな。」
狸(たぬき)「そうか。火伏せのネズミか。火の用心はネズミに頼もうっと。」

注釈・十二支では、ネズミは北にあたる。そして北は水に対応する。子月は、冬至を含む1ヶ月間に相当する。

「狸と狐が占い話」は不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。

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