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節分はめざしと煎り豆で一杯!

狐と狸がここだけ占い話

 夜更け、大きな樫の木の根元の洞。狐、狸、そして狢(むじな)が3匹で七輪を囲んでいる。

画像:coon

狸(たぬき)「ほら、めざしが焼けたぞ。」
狢(むじな)「いいにおいだな〜。あちっ!」
狐(きつね)「しっぽ。焦がさないように気をつけろよ〜。」
狢(むじな)「うぃ。大根おろし、くれよ。」
狸(たぬき)「ほらよ、煎り豆もあるぞ。」
狐(きつね)「大豆・・・。よくそんなものが食えるな。ま、たまにはいいか。」
狸(たぬき)「節分だからな、めざしも大豆も食い放題よ!飲みねえ、食いねえ。」
 
狢(むじな)「でも、なんで節分にはめざしを食べるんだ?」
狸(たぬき)「健康食品だからじゃないか。」
狐(きつね)「一種のまじないだそうだ。」
狢(むじな)「知ってる。いわしの頭も信心から、ってやつだろ? いわし、拝んでから食べたほうがいいか?」
狐(きつね)「拝んでも無駄だって。」
狢(むじな)「いわし、丸かぶりしたほうがいのか?」
狐(きつね)「そりゃ、関西の丸かぶり寿司だろ。いわしじゃないよ。」
 
狢(むじな)「でも、いわしの丸干しと大豆で、人間はいったい何をしているんだ?」
狐(きつね)「鬼除け。」
狢(むじな)「鬼除け?鬼寄せの間違いじゃないか?」
狸(たぬき)「そうだよな〜、きっと、この匂いに誘われて、鬼も冬眠から覚めてきちゃうぜ。」
狐(きつね)「鬼は冬眠しないよ。」
狸(たぬき)「鬼を匂いで誘ってだな、近づいてきたところで、煎り豆を投げつけるのよ。」
狢(むじな)「なるほど。いわしをおとりにして、鬼を威嚇するのか。」
 
狸(たぬき)「しかも、いわしにはひいらぎの葉が付いているんだ。」
狢(むじな)「え、ひいらぎの棘は危ないな。うっかりいわしを食ったら、怪我をするだろ?」
狸(たぬき)「うまい魚には棘があるって、いうだろ?」
狐(きつね)「・・・?」
狸(たぬき)「ま、節分はとにかく、めざしと煎り豆で一杯!」
狢(むじな)「酒は鬼殺しでキマリ!」
狸(たぬき)「そういえば、最近、鬼を見かけないな。冬眠してるかと思ってたんだけど。」
狐(きつね)「あいつら、神社で節分のバイトだってさ。」

注釈・めざし→いわしを干したもの。内臓を抜き、目のところに縄を通して干したことから。日本人の食卓に古くから上る食材。

「狸と狐が占い話」は不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。

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