ムーンラボカフェ

七夕、16光年の遠距離恋愛

狐と狸がここだけ占い話

 見上げれば、煌く夏の銀河。西の空にはそろそろ沈みかけている上弦の月。時折虫の声が響き渡る、そんな夜のこと。

画像:coon

狐(きつね)「今宵は七夕だなあ。」
狸(たぬき)「ぼたもちを食う日だな。」
狐(きつね)「?」
狸(たぬき)「たなぼただろ?棚からぼたもち!」
狢(むじな)「ちがうよ、笹団子を食べる日だよ!」
狸(たぬき)「ああ、だから軒先に笹を飾るんだな。」
 
狐(きつね)「あのなあ、七夕っていうのは、牽牛と織女がデートする日なのよ。」
狸(たぬき)「誰それ?」
狢(むじな)「パンダのカップルの名前だろ〜。笹を飾るぐらいだからな。」
狐(きつね)「パンダではない、お星様だ。」
狸(たぬき)「は?」
狢(むじな)「へ?」
狐(きつね)「ベガとアルタイルだ!夜空を見上げてみろ!」
狢(むじな)「あのなあ、おまえなあ、あの2つの星は16光年離れているんだぞ?」
狸(たぬき)「ベガ系エイリアンと、アルタイル系エイリアンの話か?」
狢(むじな)「ま、ワープでもするんだろ。」
狐(きつね)「とにかくだなあ、牽牛と織女は、お互いに想いあっているのよ」
 
狢(むじな)「あ。恋愛相談か。人の恋バナなんて聞かされても、ぜんぜん楽しくな〜い。」
狐(きつね)「まあよく聞け。そんじょそこらの恋バナではない。昔々、あるところに牽牛という働き者の若者がいました。牽牛は牛を飼っていて・・・。」
狸(たぬき)「え?牽牛って、パンダじゃなくて牛だったのか?」
狢(むじな)「まあ、そんじょそこらの遠距離恋愛ではないよな、たしかに。」
 
狐(きつね)「コホン! 織女はだな、帝の末娘で、機織が上手で、働き者で美人で・・・。」
狸(たぬき)「ああ、川に洗濯に行くんだよな?で、桃が流れてきて・・・。」
狢(むじな)「違うだろ、たしか正体は鶴だ。ええっと、恩返しにくるんだよな? お嬢さん、落し物ですよ、って定期券を拾ってもらったのが縁で・・・」
狸(たぬき)「定期券? なんでそんなものを鶴が持っているんだ?あれ?牛だっけ?」
 
狐(きつね)「あのな、織女はだな・・・」
狸(たぬき)「うう、腹減った〜! なんか食べるものないか、ちょっとそこらを探してこようかな。」
狢(むじな)「俺も腹減ったな〜。あ、もやしがあるから、焼きそばでも作るわ。」
狐(きつね)「織女はだな・・・」
狸(たぬき)「おお、焼きそば!もやし!いいねえ。」
狐(きつね)「織女はだな・・・」
狢(むじな)「甘辛ソースが決め手だぜ。いい匂いだろ〜!」
狸(たぬき)「わ〜い!食おうぜ食おうぜ!」
狢(むじな)「(きつねにむかって)まあ、おまえも食えよ。天界のことはほっといてさ。」
 
狐(きつね)「そういえば、七夕には麺を食べるんだっけ。」
狸(たぬき)「ということは、麺食いの日なんだな。つまりは合コンで出会ったんだっけ?その2人?」
狐(きつね)「麺とは縁結びの糸だ。」
狢(むじな)「焼きそばじゃあ、ちょっとこんがらかっているけどな。」

注釈・旧暦7月7日七夕。グレゴリオ暦ではだいたい8月にあたる。五節句のひとつ。中国から伝わった乞巧、星祭と日本古来の習慣が合流した行事。そうめんなどの麺類を食べ、瓜を飾る風習がある。

「狐と狸がここだけ占い話」は、不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。

狐と狸がここだけ占い話 > 七夕、16光年の遠距離恋愛 狐と狸がここだけ占い話

 
この記事のURL