狸(たぬき)「栄養ドリンク?マムシドリンクか?」
鼬(いたち)「マムシ、取りにいこうか?」
狐(きつね)「やだよ。そんな危ないもの。」
鼬(いたち)「そういえば、夏バテにはどじょうが効くんだとよ。田んぼに取りにいこうよ。」
狸(たぬき)「ああ〜土用のどじょうか?いいな。」
狐(きつね)「それ、土用の鰻の間違いだろう?」
鼬(いたち)「そうだっけ?うなぎでもどうじょうでも、どっちでもいいよ。おいしければ。」
狐(きつね)「どっちでもよくないよ。うなぎは蒲焼にするけれど、どじょうは鍋だろう?」
狸(たぬき)「あ、俺、蒲焼のほうがいいな〜。こってりと油がのったやつ!うう、たまらん、じゅる。」
鼬(いたち)「おまえな〜、カロリー大丈夫か?メタボ腹はいかんぞ。どじょう鍋のほうがヘルシーだぞ。」
狸(たぬき)「ん〜、鰻のほうが好みだな〜。」
鼬(いたち)「土用にはどじょうじゃダメなのか?」
狐(きつね)「土用には鰻だって、江戸時代から決まっているだろ。」
鼬(いたち)「誰が決めたんだよ?」
狐(きつね)「平賀源内。」
鼬(いたち)「誰だそれ?」
狐(きつね)「江戸時代のコピーライターだ。」
鼬(いたち)「?」
狸(たぬき)「ところで、なんで土用には鰻を食べるんだ?土用に限らず、いつだってOKだぜ。」
狐(きつね)「精をつけるんだ。夏バテ防止だな。」
狸(たぬき)「なんだ、じゃあ、栄養ドリンクでも焼き肉でもいいんだろ?」
鼬(いたち)「土用にはマムシドリンク、っていうのもありだろ?」
狐(きつね)「まあな。鰻をマムシって呼ぶ地方もあるんだよ。」
狸(たぬき)「ところで、マムシって食えるんだよな?」
鼬(いたち)「うまいぞ。」
狐(きつね)「マムシって、イモリみたいに黒焼きにして薬にするらしいな。」
狸(たぬき)「まずそ〜。やっぱ、鰻の蒲焼がいいな。」
鼬(いたち)「いや、どじょうの柳川鍋のほうがヘルシーだってば。」
狐(きつね)「冷えたビールと冷奴がいいな、俺。」
注釈・夏の土用は、昔から夏バテ防止として精のつく付くものを食べる習慣があった。土と水に関わるという意味では、鰻でもどじょうでもたいした違いはないと思われる。
「狸と狐が占い話」は不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。