2023年のマンデーンを読む
2023年のマンデーンを読む
マンデーンを読むにあたって必要なのは、まず、大惑星のトランジットです。木星は2023年5月中旬(5/17)までは牡羊を、5月中旬(5/17)からは牡牛へと移動し、牡牛15で逆行、年末には牡牛5まで戻ります。(木星は2024年5月まで牡牛を運行)。
天王星はあいかわらず牡牛(牡牛15-23)を運行中。牡牛に入った木星が天王星に接近していき、2024年になれば、木星天王星コンジャンクションが牡牛で発生。
土星は、2023年3月上旬(03/07)に水瓶から魚へと移動し、これから約2年間(2025年5月までと、2025年9月から2026年2月まで)魚を運行します。海王星は魚(魚22-27)を運行中。土星がだんだん海王星に接近していきますが、魚では土星海王星のコンジャンクションは発生せず、土星海王星コンジャンクションは、2025/07/13牡羊01です。
冥王星は山羊から水瓶の移行期にあたり、3月下旬(03/23)から10月上旬(10/11)まで、一時的に水瓶に入ります。
2020年暮れ、2020/12/22 03:22(JST)の水瓶00での木星土星のグレートコンジャンクションから、新たな経済の流れがはじまっています。リモートワークがずっと続いている業種ばかりではありませんが、リモートでも可能な部分はリモートに、AIに任せられる部分はAIに、という方向になっていくのでしょう。
木星天王星コンジャンクションが発生するのが2024/04/21 11:28(JST)牡牛21ですので、本当に新たな流れが意識されるようになるのは2024年に入ってからということになるのかもしれませんが、とにかくAIの活用はますます加速していくはずです。そのような流れの中で、AIにはできない仕事というものもはっきりしてきます。A Iにできない、というとそれは芸術系の仕事なのか、と思われた人もいるでしょうか。それは残念ながら違います。AIはすでに著作権すら侵害し始めています。では、AIを排除するのかといえば、それも違うでしょう。AIをどのように使いこなすのかを考えなくてはなりません。
一方では、2022/04/12 23:44(JST)魚23に発生した木星海王星のコンジャンクションの影響も引き続いています。それは宗教の問題です。というより、宗教の名を語って利益をむさぼる悪徳組織の存在が問題なのですが。利権や血縁に絡んだ組織の異常さ。2017年に、とある神社で起った殺人事件については、神に仕える人間の所業ではない、としかいいようがありません。
宗教とは信仰の世界です。では、信仰とはなんでしょうか。それは信じているものを絶対視することです。信仰を広めて集団を支配する。それもまた宗教の名のもとに行われます。政教分離がなされている国家ばかりではありません。そのような現状の中で、スピリチュアリティのムーブメントが起ってきてはいますが、さまざまな問題があります。
占術と宗教とは異なると(私は)考えていますが、世間的には宗教も占術も同じようなものでしょう。霊感や神のお告げを求めるユーザーは実際に多く、私にも時々、霊感占いの事業所から仕事のお誘いがやってきますが、お断りしています。なぜなら、霊感は占術ではなく宗教であると私は思いますので。霊感がNGだというわけではありませんが、霊能者の脳裏に浮かんだヴィジョンを絶対視するなら、それは宗教の領域になります。スピリチュアリティのブームはさらに続き、そのようなブームの中で、時には冗談だとしか思えないようなファンタジーが語られることもあるのでしょう。宗教と芸術は、その根本が同じなので、霊能者=教祖=アーティストです。しかもそれは、AIで作成できるアートではありません。とはいうものの、トランス状態になり、技術や知識がないままにインスピレーションに導かれたアートは、その場限りのパフォーマンスでしかありません。パフォーマンスで人を惹きつける教祖(霊能者)はたしかに存在するでしょう。ですが、占術家には、それよりも技術や知識が必須です。そこで必要なのはインスピレーションではなく経験です。(その経験をインスピレーションとしている占術家の方も多いようですが。)
いずれにしろ、占術というジャンルを、どのように定義するのか。信仰を絶対視することによって自我を捨てる宗教の構造を、安易に占術に取り込んではならない、と私は個人的には考えます。最近、瞑想の危険性についても指摘されるようになってきており、スピリチュアリティ・ブームがもたらす混沌とした問題は、今後も指摘されるようになっていくでしょう。
さて、マンデーンにおいては春分図を作成するのが一般的です。春分図は、該当年の春分の瞬間のホロスコープです。つまり、太陽牡羊00の毎年のソーラーリターンチャートを作成すると考えるとわかりやすいのかと思います。星の配置は世界共通でも、地域によって(国によって)上昇が異なります。
春分図 Ari00 2023/03/21 06:26(JST)Spring Equinox (アメリカン・エフェメリス) Tokyo
山羊の冥王星、水瓶土星、海王星魚、木星牡羊、牡牛天王星、火星双子まで、外惑星がひとつずつサインに並ぶ配置となり、Tokyoでのアセンダント(上昇)は牡羊、アセンダントルーラーは火星。感受点はすべて東半球に入ります。
火星の配置としては、海王星とスクエア。太陽、水星ともスクエア。とまあ、厳しい配置です。スクエアは、問題の表面化です。火星と海王星のスクエアについていうなら、世の中への不安感が強まり、追い詰められた気分になってくる人たちが増えます。世の中に対する不安、エネルギー問題や食糧危機。余裕がなく時間に追われる中で、ストレスからの被害妄想、しばしば、見えないものが見えた、ありえない事象が起ったというような話が発生します。つまりオカルト話が流行る時代ですので、スピリチュアル・ブームはますます高まるのでしょう。ですが、オカルト話で済むなら、ある意味、平和でしょうか。自分よりも恵まれていると感じる人たちを羨み、妬む気持ち。火星海王星のスクエアが、集団心理として妬みに繋がり、しばしば被害者が加害者になります。なるほど、かつて災害や疫病が発生した時に、怨霊封じを行ったというのはそういうことなのでしょう。
世の中に対立が発生すると、お互いにもっと理解しあって、などという人がいますが、すべての人と理解しあうことは無理。これからの世の中に必要なことは、「理解しあうこと」ではなく「理解しあえない人とどうやって共存するか」ではないでしょうか。理解できない相手を排除しようとする時に、争いが発生します。理解しあおうとした結果、対立がますます深まっていくというような危険な図式にならないことを祈るのみですが、これが、ワクチンや政治や宗教、さまざまな場面で発生することになりそうです。
火星海王星スクエアはしばしば発生する配置ですが、この配置が春分図で発生するかどうかが重要です。特徴的だったのは2016年の春分図です。この時、アセンダントは牡羊ではありませんでしたが、火星海王星が発生しています。2016年は、過労死、保育園の待機児童問題、流行語に「神ってる」、「鬼滅の刃」が登場したのは2016年11月で、世の中には神と鬼しかいないのか、という極端な印象がありましたが、おそらく2023年の流行語もそんなイメージの言葉になるのではないでしょうか。殺伐とした世の中だからこそ、スピリッチュアリティの癒しを求めるという流れになってはいくのでしょうが、スピリチュアリティの幻想の裏側には、欺瞞が隠されています。霊感商法についてもさらに問題視されるようになっていきます。
アセンダントルーラーである火星と、太陽、水星とのスクエアについてですが、トラブルが起こるたびにルール変更というような慌ただしい流れになりそうです。太陽と水星は12Hにあり、12Hは隠されたハウスだから問題は表面化しないというようなことを言う人たちがいます。実際に夜空を眺めながらホロスコープを描いてみてください。アセンダント上にある星は、東の地平線から昇ってきたばかりで、まるで生まれたてのように輝いています。隠されているのは、むしろ、地平線下にあってこれから昇ろうとしている1Hのほうではないでしょうか。
2023年春分図Tokyoについていえば、3Hの火星が目立ちます。日本においては18歳成人。
さらには火星があらわすと考えられる個人事業主の割合も増えていくのでしょう。インボイス制度については(たぶん)実施されると、個人的には思いますが、変更や追加修正も考えられるのでしょう。しかし、そのあたりが実際にどうなるのかについてを、春分図から読み取ることまではさすがにできません。占星術でいえるのはだいたいの傾向でしかありませんので。
マンデーンを読むにあたって、春分図だけを用いるということはありません。一般的には国家開始図(国家誕生のホロスコープ)を重ね合わせて占断するのですが、戦後の日本の開始図を、1947年5月3日(昭和22年)の日本国憲法施行とするのか、それともサンフランシスコ対日講和条約調印時(1951/09/08時刻不明)とするのかで、迷うところです。
1951/09/08を開始図としてみますと、印象的なのが木星牡羊12。2023年春分図の木星の位置とだいたい同じなのは、12×6なので当然といえば当然ですが、2023年春分図の木星に注目してみる必要がありそうです。開始図の天王星が蟹13ですので、天王星スクエアの木星であることを意識する必要があります。変化が起こりやすくなっていると考えてもよいでしょう。
その一方では、2013年春分図の月が魚18で、開始図の蟹13の天王星とトライン。住居問題の変化かもしれません。あるいは、家族関係の変化でしょうか。
その一方で、2023年春分図の火星は、開始図の土星とスクエア。改革にあたって、伝統的な障害はあいかわらずでしょう。
2023年春分図内では火星水星スクエア、しかも、火星が3Hとなれば、ワイドショーでは、社会の改革の必要性を声高に叫ぶでしょう。改革で検索してみますと「働き方改革」、「夫婦別姓」あたりが浮上します。「働き方改革」は、いよいよ考えなくてはならないタイミングにきています。「夫婦別姓」については、マイナンバーの発行によって可能になりつつあります。
繰り返し書きますが、天王星は改革です。しかし、どこかの占星術の解説書に書かれているような、唐突でエキセントリックな性質の象徴ではなく、長く続きすぎた伝統の弊害の中から(反発するように)発生するものです。
社会にとって本当に必要なものは残していくべき、それは当然ですが、しかし、なにが必要でなにが必要ないのか。個人的には、伝統があるものをすべて残す必要はないと考えます。値段だけでなく糖質も高い正月料理を、縁起がいいからと無理して買う必要はありませんし、着物は着たい人だけが着ればよいです。成人式に晴れ着を着せるは、親の責任ではなく見栄です。18歳成人については賛成です。が、18歳で自立することが本当に可能になるように、社会が援助していく仕組みを作ることも、もちろん大事だといえましょう。
おわりに。これは毎年書いていることですが、占星術とは星の配置によって地上の運勢を読みとる術とされます。しかしそれは「星の配置に地上の運勢が左右される」ことではありません。地上の動きを知らなければ、天を仰いでも何もわかりません。私の師同然であったルル・ラブアさんは、「新聞を読みなさい、経済学を勉強しなさい、世の中を知りなさい、でなければマンデーンはできない」とアドバイスをくださいました。占星術を学んだだけで株で勝てたりはしません。株の専門家が占星術をやってこそ、知識を活かせるというものです。
予兆を読みとるのがオカルティストと称される人々ですが、オカルティストは占い師であるとは限りません、科学者、政治家、そして芸術家かもしれません。ただし、オカルト理論にはおおいなる勘違いもたくさん含まれています。99の瓦礫とたった1つの原石。そのぐらいの比率かとは思いますが、マンデーンから役立つ何かをひとつでも読みとっていただければ幸いです。
秋月さやか
木星土星コンジャンクション→2020/12/22 03:22(JST)水瓶00
木星海王星コンジャンクション→2022/04/12 23:44(JST)魚23
木星天王星コンジャンクション→2024/04/21 11:28(JST)牡牛21
土星海王星コンジャンクション→2025/07/13 牡羊01
2023年 春分図

1951/09/08

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