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かぐや姫はバニーガール?!

 竹の中から生まれたかぐや姫。その美しさを聞きつけたたくさんの男性から求婚されますが、「私は地上の者ではございません。」と、ある満月の夜、月に帰ってしまいましたとさ。・・・というかぐや姫のお話。たいていの方がご存知でしょう。
 
 かぐや姫の物語には、別バージョンが数々あります。そのなかのひとつによれば、かぐや姫の正体は、月の都に仕えていたウサギ。ところが、月の都で失敗をやらかし、その罰ゲームとして、地上に生まれ変わることになってしまったのであります。ということは。なんと。かぐや姫の正体は…バニーちゃんではないか!!
 
 さて、バニーかぐやの噂は都に広まり、その美しさに5人の皇子が翻弄され、ついには帝に召しだされる。まさに国民的美少女状態。でも、バニーかぐやは、「私は月に帰らなくてはならないのでございます。」と告げる。
 月からの迎えがやってくると、通常バージョンでは、かぐや姫は羽衣をまとって帰っていく。でも、ウサギバージョンでは、もんどりうってウサギの姿に戻り、月に帰っていくのである。

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 しかし私は、この話がどこか居心地悪く、腑に落ちないのだ。中秋の名月が近づくたびに、いつも思い出す。
 
 そう、正直に「ごめんなさいっ! 私、ウサギなんですぅ。ピョン。」と皇子たちに言ってあげたほうがよかったんじゃないか、と。そうすれば、皇子たちも「えっ!ウサギだったの…そうか。じゃあしかたないな。」と、あっさり引きさがったに違いない。そして、屋根から落ちて骨折したり、海で遭難することもなかったのだ。本気でもないくせに、蓬莱の木の枝とか、ツバメの子安貝なんて採りに行かせることなかったんじゃないの?
 「私がウサギでも愛せるかしら?」の一言でよかったんじゃないの? 「ウサギだってかまわないんだ、なんだっていいんだ、キミはキミだ、私は貴女を愛している!」と言われたなら、その時改めて考えればよかったでしょうに、と。
 
 つまり、このお話には、2つの教訓が隠されている。(と、私は思う。)  ひとつ。見かけに惑わされちゃダメっていうこと。可愛く見えても、正体はウサギかも知れない。いや、たとえタヌキだとわかっても、あなたは相手を愛せますか?
 ふたつ。相手をだましちゃいかん、ということ。ウサギが人間のふりして男を誘惑しちゃダメ。なかには、タヌキがキツネのふりをしたり、オオカミがネコのふりをしたりすることもあるかも知れない…。でも、いつまでもだまし通せるもんじゃない、っていうこと。
 
 そりゃあ、たまには、自分の正体を偽って、ウサギが人間になって人間の男と恋愛することだってあるだろう。でも、それは、いつか終わりにしなくちゃならない。地上に暮らす覚悟がないんだったら、自分の正体を白状することができないんだったら…相手を試す前に、傷つける前に、正体を隠してさっさと月へ帰らなくっちゃね。

秋月さやか

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