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雛あられ、あれ?これ?どれ?

 雛あられ「東はポン菓子、西はあられ」という見出しに、私は首を傾げた。「東はポン菓子・・・」はて?ポン菓子とはいったい何であろうか?
 「田舎暮らしの本」に掲載された「雛あられ」の記事、なんとそこには驚愕の事実が記されていた。(注・私は関東生まれの関東育ち。)
 「雛あられ」と信じて私が食べてきたもの、それは「あられ」ではなく「ポン菓子」と呼ばれるものであったらしい。
 
 「雛あられ」についての記事(田舎暮らしの本2011年4月号100P)を、以下に引用させていただく。
 「主に関東で食べられているものが、米粒大で甘い「ポン菓子」。うるち米を爆ぜて膨らませ、砂糖みつを絡めたもの。江戸時代に庶民が食べていた、米を煎って作られた「爆米(はぜ)」が原点とされる。」
 それに対し「あられ」とは・・・「もち米を原料とした直径1cmほどのあられ。」
 
 たしかに。「あられ」といえば煎餅が霰ぐらいの大きさになったもの。塩味、醤油味、煎餅を小さく丸めたようなものである。
 私は子供の頃、「なぜヒナアラレって甘いの?フツーのあられのようにしょっぱくないの、ナゼ?」という質問を、祖母にした覚えがある。
 祖母の答えはこうだった。「昔、お祭りの時には甘いお菓子が御馳走だった。饅頭とかあんころ餅とか。クリスマスにケーキを食べるみたいに。だから雛あられは甘いの。」
 つまり、大きさは「あられ」ぐらいだから「あられ」という名称、でも甘いお菓子で煎餅とは別物、それが「雛あられ」というように私は覚えて育ってきたのである。その私にとって・・・。この記事は、餅が丸とか四角とか三角とかいう以上のカルチャーショック!
 

画像:雛あられ、あれ?これ?どれ?


 さらに「花黍」についての記載に、またまたびっくり。
「花黍(きび)」というのは、高知県を中心に、雛祭りで食される菓子だという。 「ポップコーンに色をつけた花きび。昔からお百姓さんが春になると花きびをつくり、町で売り歩いていたそうで、春を呼ぶお菓子として雛祭りに食べられるようになった。」と記載されている。
 
 ・・・え?これってもしかしたら・・・?
 中国では、2月2日を春竜節という。(注・グレゴリオ暦の3月はじめぐらいの時期。)
 この時に煎り豆をまく風習が伝わっている。煎って爆ぜた豆を「金豆の花」として撒く。これは、囚われの竜王を解放して、雨を降らせるための呪術。雨を降らせ、春の花を咲かせる願いが込められている。この場合、乾燥した大豆を煎るのであるが(これ、けっこう堅い)、私は「煎り豆の花ねえ、それ、トウモロコシを煎ってポップコーンにしちゃえばわかりやすいじゃないのよ」と思ったことがある。
 
 つまり、高知の「花黍」は、中国の春竜節の流れを汲むものではないのだろうか。そういえばトウモロコシは、中国から伝来したので、唐黍(とうきび)とも呼ぶ。となると、ポップコーンは、まさに春を呼ぶのにふさわしい呪術的菓子といえるのかも知れない。たしかに、はじけて咲いた花のように見えるもの。春よこい、と唱えながら食べれば、もしかしたら「春(恋)」がやってくるかも知れませんよ!
(注・トウモロコシの原産地は南米ペルー。南米からはるばる、中国を経て日本へ!)

秋月さやか


参考文献:
「田舎暮らしの本」2011年4月号 宝島社
「中国の年中行事」中村喬 平凡社選書
写真:素材辞典

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