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七草粥に春の七草

7 Herbs Rice Porridge

 1月7日は七草粥。七草粥とは7種類の野草を入れた粥のこと。7種類の草とは…セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スジシロ。以上、春の七草。
 
◇セリ(芹 Japanese Pasley)
 春の水辺に生える野草。野菜として売られています。おひたし、油炒めなどで食べます。
◇ナズナ(奈豆菜、撥草)
 ペンペン草。油菜科の草。道端などで見られますが、野菜として販売されてはいません。
◇ゴギョウ(御形)
 母子草。菊科。道端で見かけますが、野菜売り場にはありません。白いうぶ毛に覆われた葉、茎。古くは、この母子草を入れて草餅を作っていたとか。
◇ハコベラ、ハコベ(繁婁)
 朝、小さな白い花を開くことから、万葉人は朝菜と呼んでいたとか。雛草という名前もありますが、これは小鳥に食べさせる野草だから。こちらも、道端や庭の隅で見かけますが、販売されてはいませんね。
◇ホトケノザ(仏の座)
 現在、ホトケノザと呼ばれているのは、春先に小さな紫の花を付けるシソ科の野草です。が、古来、ホトケノザとして春の七草に用いられた植物はこれではありません。タビラコ(田平子)という菊科の草なのです。タンポポに似た花を付けます。中国では黄爪菜と称され、「本草綱目」には、日本人が黄爪菜をホトケノザと呼んで七草粥に入れる、とあります。中国では今でも黄爪菜を食用にしていますし、古い時代に春の七草として食されていたのがタビラコであったことは確かです。
 (現代の日本では、タビラコをホトケノザとは呼びません。紛らわしいことですが。そして、ホトケノザと呼ばれているシソ科の草については、私の祖母は、そっちを食べちゃだめ!と言っていましたが…そちらを食する方々もいるようです。)
◇スズナ(蕪 Radish)
 スズナは蕪の古名です。丸い形が、鈴を思わせるので鈴菜と呼ばれていたそう。蕪は葉も根も食べられます。
◇スジシロ(大根 Grated Radish)
 スズシロは大根の古名です。Long Radishと表記したほうがわかりやすいかも。大根は、極めて日本的な野菜といえます。TVドラマ「おしん」で、一躍、世界に有名になったようです。
 
 なぜ1月7日に、粥にこれらを入れて食べるのか?それは、これから1年間、無病息災ですごせますように、という呪術なのです。万葉の時代、早春(2月半ば頃)の野に出て、青菜を摘んで作った料理が七草粥。春の息吹、生命力をいち早く取り入れる意味が込められているのです。この呪術、古代中国で1月7日に七種の菜を食べていた習慣が伝わったもの。ただし、春の七草は日本編ですし、粥にするのも日本式です。
 
君がため 春の野に出て 若菜摘む 吾が衣手に 雪は降りつつ (光孝天皇)
 

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 ということで、日本文化に興味のある方々! 日本式の七草粥の簡単な作り方をお教えしましょう!
 まず、ご飯を用意。前日の残りご飯でもよく、コンビニでレトルトのご飯パックを買ってもかまいません。分量の目安ですが、ご飯1人前で粥2〜3人分できると考えてください。ついでに、餅があったら用意します。2〜3個。
 
 新鮮な葉がついたダイコン、カブを少々。(大根は4分の1本もあればよく、蕪は1個でも)。 セリは、この時期、必ずスーパーマーケットに並んでいます。 ナズナは油菜科の植物ですから、菜の花で代用可! ゴギョウは菊科の植物なので、春菊で代用可!さあ、これで5種揃いました。
 その他、三つ葉、小松菜、水菜、ほうれん草は、春の七草ではありませんが…。こちらから2種、好みで加えてもいいのではないかと思います。(たいていの日本人はそうしていますよ!)
 青菜はすべて細かく刻みます。大根と蕪も刻んでおきましょう。分量ですが、刻んだ状態のものを、1人前どんぶり軽く半分ぐらい、と考えればわかりやすいでしょう。
 
 鍋に水を入れて沸騰させます。水の量ですが、1人分がどんぶり1杯ぐらい。沸騰したらご飯を入れます。ご飯が柔らかくなったら、刻んだ青菜を入れて煮込みます。味付けは塩のみ。ひとり分、塩ひとつまみを目安に。塩味が薄く、粥が甘く感じられるぐらいでちょうどいいのです。これで完成。
 でも、これでは量が少ないと感じる人が多いので、餅を入れるバージョンをおすすめします。焼いた餅を粥に混ぜてください。
 その他、梅干、昆布の佃煮、漬物をオマケに添えます。
 
(注・ただし! 韮、葱、ピーマン、パセリ、キャベツ、レタス…の使用はおやめください。山葵、大葉、茗荷、唐辛子、紅生姜も使用不可。青海苔は海草であって、野草ではありません! 
 ハコベの入手は、知り合いの日本人に聞きましょう。公園に行って野草を摘むのはやめたほうがいいでしょう。Native Japaneseではない方たちが野草を見分けるのは…かなり困難です。
 芹は、紛らわしいものに毒芹があり、Native Japaneseでも見分けられずに中毒する例があります。お店で買いましょう。
 私の祖母は、タビラコの代わりにタンポポを用いていましたが、この場合には、葉をほんの少量。タンポポは苦いので。)
 
 質素な料理ですが、正月のご馳走を食べて疲れた胃にはこれが一番、と年配の人たちは言います。私の祖母も、そう言いながら七草粥を作ってくれたものです。
 米と野菜だけ。立派な精進料理です! そのため、禅宗の寺では、1月7日に七草粥を振舞うところもあります。飽食を省みつつ、米と野菜の恵みに感謝しながら、1月7日は七草粥を!
 
 ところで。現代ではグレゴリオ暦の1月7日に行う場合がほとんどですが…。
 古くは旧暦1月7日の行事。つまり、だいたい2月初めから半ばぐらいまでの間、立春の前後に行われたもの。
 だから、「春の野に出て」若菜を摘んでいるところに「雪は降りつつ」なのです。野草を摘むなら、立春の前後のほうが適しているでしょう。

占術研究家 秋月さやか

参考文献:
春・秋 七草の歳時記 釜江正巳 花伝社
万葉集を知る事典 櫻井満監修 東京堂出版

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