占い歳時記
雛祭りのごちそうは縁結び食材で!
雛祭りは、桃の節句。「3月の初めなんて、まだ桃、咲いてないでしょ」と、みなさんおっしゃいますが、旧暦の3月3日は、だいたいグレゴリオ暦では4月のどこか、桜の前後です。桃は陽気を発散する植物であり、厄除け、アンチエイジングの力を宿していると考えられました。古来、3月3日の節句には桃酒を飲んだという伝承を目にしましたが・・・私(日本生まれ、日本在住)、ついぞ桃酒というのを見たことがありません。
さて、古来中国の3月の節句と、日本の雛祭りは別物です。日本の雛祭りは、未婚の女性の祭日。将来、いいところにお嫁に行けますように、という祈願行事です。雛人形ですが、あれは、皇室の結婚式を模したものです。で、雛祭りの時に、鬼のお面を被るのはやめてね、Kちゃん。角隠しって、そういう意味ではありません。
(注・Kちゃんは日本人の男性と結婚しました。和式で結婚式やったらしく、何か誤解しているみたいです。)
さて、雛祭りの縁起料理をあげてみましょう。以下、4品を揃えれば、立派な和風の雛祭り! そして・・・なんと雛祭りには縁結び食材が使われているって、知ってました?
「ちらし寿司」
ハレの日といえば、寿司SUSHI。江戸時代、何でもない日に寿司SUSHIを食べるのは、たぶん江戸っ子ぐらいなものだったと思います。
というわけで、雛祭りは寿司。散らし寿司が登場します。散らし寿司は、生ものを使わなくてもできますし、豪華なので、お弁当にもぴったり! 寿司飯の上に、具を飾ったものが散らし寿司です。散らし寿司は、寿司飯を握らず、なおかつ海苔(BLACK PAPER)で寿司飯を巻くこともありません。では、海苔はどうするのか? 細切りにした海苔は散らします。酢飯の上に散らしてから具を載せるもよし、具の上に散らすもよし。
具ですが、春らしく、錦糸玉子と桜でんぶを散らしたものが基本です。
錦糸玉子は、薄焼き卵を千切りにしたもの。卵は春の食材というだけでなく、洋の東西を問わず、家庭円満、豊かさをもたらす食材です。
桜でんぶの正体は、魚。これ、自分で作ろうとすると結構難しいのですが、タラやトビウオなど白身の魚の身を乾煎りしてほぐし、それに、味醂、ダシの素などで味付けしたもの。普通に作ると白いのですが、めでたい料理には赤!ということで、食紅で色をつけたものが市販品として出回っています。錦糸玉子、桜でんぶ、煮椎茸などを、寿司飯の上に飾ればOKです。茹でた菜の花などを飾ることもあります。茹でたエビを飾るのも人気があります。日本人って、エビ好きですからね。
「蛤汁」
雛祭りに欠かせないのは、蛤汁、蛤のスープです。春は貝の季節ですし。蛤を煮て、澄まし仕立ての汁にします。つまり、カツオダシ、昆布ダシ、醤油少々を入れます。三つ葉を少しあしらえばOKでしょう。(注意・味噌は入れません!)
しかし、ここで大事な注意点があります。蛤がなければ大あさりを使いますが、殻ごと入れるのです。そして、2枚貝以外の貝を使うのはNG! 豪華食材のあわび、バイ貝もNGです。ぜ〜ったいにダメ!
なぜか。その理由は、平安時代にあります。平安時代、貴族の遊びに「貝合わせ」がありました。これは、ばらばらにしてあるたくさんの2枚貝の貝殻を、2枚1組にしていく遊びです。2枚貝の合わせ目のミゾの形はそれぞれに異なり、もともと対だったもの同士以外は、合いません。そこから、良い伴侶にめぐり合えますように、という、言ってみれば婚活奨励の遊びになったわけです。
つまり、巻貝は自己完結型で、伴侶を求めていないのでNG。「磯のあわびの片思い」という言葉もあるぐらい、結婚に縁遠いのです。ですから、結婚式の料理にあわびは出さないほうがいいでしょう。
「カキは?カキでもいいよね?」と質問したKちゃん。カキはたしかに2枚貝ですが、結婚式の汁物で見たことはありませんし、貝合わせにも使いません。殻が綺麗な蛤か浅利を使いましょう。あ、ホタテも使いませんよ。
「白酒」
なぜ雛祭りに白酒を飲むようになったか? 日本古来、祭りには酒がつきもので、いわゆる御神酒だからです。
江戸時代には、日本酒と味醂を混ぜた甘い酒が流行っていたようで、白酒は、濁り酒と味醂を混ぜたものです。現代では、雛祭りが子供のお祭りなので、米麹の甘酒(ノンアルコール)を用いるようになってきました。甘酒と書きますが、その正体は米麹飲料。一見、白い濁り酒のようですが、アルコール醗酵まではしていない状態(正確に言うとその一歩手前みたいな状態)のものを、熱処理して飲用します。
「菱餅、雛あられ」
最近、いちごケーキにとって代わられることが多いようですが、本来は菱餅!雛あられ! 菱餅のほうが歴史は古く、本来は、菱の実を粉にして固めたお菓子だったとか。菱の実は、その尖った形から、魔除けと考えられたのです。忍者の武器に撒き菱というのがあるのですが、これは棘棘の菱形をした金具。棘で敵を撃退するわけです。今は、菱形の餅(粟餅)で、赤、白、緑の3色を重ねます。この3色についてはいろいろな説がありますが、まずは、3月3日だから3色でワンセット。赤は火、緑は大地(あるいは植物)、白は水です。
雛あられは、菱餅よりは新しいお菓子で、いわゆるふくれ米のあられ菓子。なんとなく節分の豆を連想させますが、豆のように撒いたりはしませんので、間違えないように!
しかし、昔から私は思っていたのですが、米麹の甘酒(ノンアルコール)に雛あられでは、甘すぎ。雛あられには、やはり緑茶が合います。一服、お茶でもたてて、干菓子に雛あられを添えてみてはいかがでしょうか。
画像:素材事典
さて、古来中国の3月の節句と、日本の雛祭りは別物です。日本の雛祭りは、未婚の女性の祭日。将来、いいところにお嫁に行けますように、という祈願行事です。雛人形ですが、あれは、皇室の結婚式を模したものです。で、雛祭りの時に、鬼のお面を被るのはやめてね、Kちゃん。角隠しって、そういう意味ではありません。
(注・Kちゃんは日本人の男性と結婚しました。和式で結婚式やったらしく、何か誤解しているみたいです。)
さて、雛祭りの縁起料理をあげてみましょう。以下、4品を揃えれば、立派な和風の雛祭り! そして・・・なんと雛祭りには縁結び食材が使われているって、知ってました?
「ちらし寿司」
ハレの日といえば、寿司SUSHI。江戸時代、何でもない日に寿司SUSHIを食べるのは、たぶん江戸っ子ぐらいなものだったと思います。
というわけで、雛祭りは寿司。散らし寿司が登場します。散らし寿司は、生ものを使わなくてもできますし、豪華なので、お弁当にもぴったり! 寿司飯の上に、具を飾ったものが散らし寿司です。散らし寿司は、寿司飯を握らず、なおかつ海苔(BLACK PAPER)で寿司飯を巻くこともありません。では、海苔はどうするのか? 細切りにした海苔は散らします。酢飯の上に散らしてから具を載せるもよし、具の上に散らすもよし。
具ですが、春らしく、錦糸玉子と桜でんぶを散らしたものが基本です。
錦糸玉子は、薄焼き卵を千切りにしたもの。卵は春の食材というだけでなく、洋の東西を問わず、家庭円満、豊かさをもたらす食材です。
桜でんぶの正体は、魚。これ、自分で作ろうとすると結構難しいのですが、タラやトビウオなど白身の魚の身を乾煎りしてほぐし、それに、味醂、ダシの素などで味付けしたもの。普通に作ると白いのですが、めでたい料理には赤!ということで、食紅で色をつけたものが市販品として出回っています。錦糸玉子、桜でんぶ、煮椎茸などを、寿司飯の上に飾ればOKです。茹でた菜の花などを飾ることもあります。茹でたエビを飾るのも人気があります。日本人って、エビ好きですからね。
「蛤汁」
雛祭りに欠かせないのは、蛤汁、蛤のスープです。春は貝の季節ですし。蛤を煮て、澄まし仕立ての汁にします。つまり、カツオダシ、昆布ダシ、醤油少々を入れます。三つ葉を少しあしらえばOKでしょう。(注意・味噌は入れません!)
しかし、ここで大事な注意点があります。蛤がなければ大あさりを使いますが、殻ごと入れるのです。そして、2枚貝以外の貝を使うのはNG! 豪華食材のあわび、バイ貝もNGです。ぜ〜ったいにダメ!
なぜか。その理由は、平安時代にあります。平安時代、貴族の遊びに「貝合わせ」がありました。これは、ばらばらにしてあるたくさんの2枚貝の貝殻を、2枚1組にしていく遊びです。2枚貝の合わせ目のミゾの形はそれぞれに異なり、もともと対だったもの同士以外は、合いません。そこから、良い伴侶にめぐり合えますように、という、言ってみれば婚活奨励の遊びになったわけです。
つまり、巻貝は自己完結型で、伴侶を求めていないのでNG。「磯のあわびの片思い」という言葉もあるぐらい、結婚に縁遠いのです。ですから、結婚式の料理にあわびは出さないほうがいいでしょう。
「カキは?カキでもいいよね?」と質問したKちゃん。カキはたしかに2枚貝ですが、結婚式の汁物で見たことはありませんし、貝合わせにも使いません。殻が綺麗な蛤か浅利を使いましょう。あ、ホタテも使いませんよ。
「白酒」
なぜ雛祭りに白酒を飲むようになったか? 日本古来、祭りには酒がつきもので、いわゆる御神酒だからです。
江戸時代には、日本酒と味醂を混ぜた甘い酒が流行っていたようで、白酒は、濁り酒と味醂を混ぜたものです。現代では、雛祭りが子供のお祭りなので、米麹の甘酒(ノンアルコール)を用いるようになってきました。甘酒と書きますが、その正体は米麹飲料。一見、白い濁り酒のようですが、アルコール醗酵まではしていない状態(正確に言うとその一歩手前みたいな状態)のものを、熱処理して飲用します。
「菱餅、雛あられ」
最近、いちごケーキにとって代わられることが多いようですが、本来は菱餅!雛あられ! 菱餅のほうが歴史は古く、本来は、菱の実を粉にして固めたお菓子だったとか。菱の実は、その尖った形から、魔除けと考えられたのです。忍者の武器に撒き菱というのがあるのですが、これは棘棘の菱形をした金具。棘で敵を撃退するわけです。今は、菱形の餅(粟餅)で、赤、白、緑の3色を重ねます。この3色についてはいろいろな説がありますが、まずは、3月3日だから3色でワンセット。赤は火、緑は大地(あるいは植物)、白は水です。
雛あられは、菱餅よりは新しいお菓子で、いわゆるふくれ米のあられ菓子。なんとなく節分の豆を連想させますが、豆のように撒いたりはしませんので、間違えないように!
しかし、昔から私は思っていたのですが、米麹の甘酒(ノンアルコール)に雛あられでは、甘すぎ。雛あられには、やはり緑茶が合います。一服、お茶でもたてて、干菓子に雛あられを添えてみてはいかがでしょうか。
秋月さやか
画像:素材事典
占い歳時記 > 占い歳時記 雛祭りのごちそうは縁結び食材で!
この記事のURL
https://www.moonlabo.com/cafe/almanac/?OpDv=essay110220