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土用鰻とムー大陸の夢

 土用は、季節の変わり目、年4回。土は物を変化させる作用があり、従って、季節の変わり目には土の気が巡る、それが土用なのです。
 つまり土用は年4回。しかし、土用といえば夏の土用を思い浮かべる人が多く、実際、土用って夏の暑い時期のことでしょ?と質問されたこともあります。夏の土用こそ、土の作用が最も強まる時期・・・というような占術上の理論はあるようですが、夏の土用がこれだけ有名になったのは、土用鰻の存在が大きいようです。
 夏の土用とは、立秋前の約18日間。立秋はだいたい8/7頃ですから、夏の土用の入りは7/20頃。小学校の夏休みとほぼ同時に夏の土用がやってくるわけ。暑さで体力が落ちる夏の土用を乗り切るために、日本では古来から、精のつくものを食べる習慣があったのだとか。たとえば鰻、ドジョウ、シジミ、卵、餅・・・。
 
 鰻って、河川や汽水域に住んでいるから川魚かと思えば、そうではない。鰻は、海で生まれ、淡水や汽水で成長する。鰻とドジョウ、似ているけれど、実は鰻と穴子もかなり似ている。さらに鰻は湿った地面を這うこともできる不思議な魚であるため、古くは、両生類の仲間のように捉えられていたらしい。つまり、謎の生物。
 鰻の血には毒素が含まれているから、生で食べることはできない。でも、熱を加えると無毒化して食べられるようになる。そのあたりも、なんとなく神秘的な薬効を感じさせるのだろう。
 しかし、鰻はどこで生まれるのか、それは長年の謎であった。つまり、卵から孵る鰻を、誰も見たことがなかったのである。だから、鰻は山奥で生まれる、山芋転じて鰻となる、というような迷信説もあったらしい。
 
 最近、鰻の産卵場所は、海の底、マリアナ海嶺付近であろう、ということが突き止められつつある。マリアナ海嶺は、グアムやサイパン近くの暖かい海の底。鰻たちは、卵を産むために、日本から遥か遠くの海をめざして旅をするのである。
 が、どうしてマリアナ海嶺? グアムって、遠いのよ。飛行機に乗ればすぐ・・・とか言っているのは人間だけ。遠路はるばる、無事、産卵場所に辿りつける鰻はごくわずか。そして卵から孵った鰻の稚魚は、黒潮に乗って、韓国、台湾、日本の河川にたどり着くのだが、やはり、辿り着けるのはごくわずか。
 
 産卵場所が決まっている魚といえば、鮭。鮭は河で孵り、海に下り、河に上って卵を産む。それは、鮭が、生まれた河の水を覚えているからだという。鰻は鮭と逆。海で生まれて、河をめざし、そして再び、海に帰る。となると、鰻の祖先は、マリアナ海嶺付近で生まれたに違いなく、いまだに生まれた場所に戻って産卵する習性を失っていない、ということなのだろう。
 

画像:ウナギ うなぎ 鰻


 さて、ここで、鰻の生まれ故郷に関する大胆な仮説をご紹介しましょう。
 昔々、その昔。太平洋に、大きな大陸がありました。その大陸の大部分は、ある時、海の底に沈んでしまう。沈まずに残ったのが、グアムやサイパン、太平洋の島々、台湾や日本。
 その大陸とはムー大陸。つまり、鰻はかつて、ムー大陸の河川で生息していた川魚であったのではないか、というのである。しかし、ムー大陸が沈んでしまい、やむなく、海を泳ぐことになった。しかし、本来が川魚であるから、河川を探して、海を渡る。そして生まれた水を覚えている習性から、産卵には、必ずマリアナ海嶺に戻っていくのだ、と。鰻、ムー大陸の記憶を持つかも知れない魚。
 
 鰻の産卵は夏至の前後の新月。月のない暗い海で産み落とされる無数の卵。卵が孵化するのは、2〜3日後というから、細い三日月が天空に懸かる頃。まさに、三日月の光に導かれ、鰻の稚魚は広い世界に旅立つ。海路はるばる泳ぐ力がその中に秘められていることを考えれば、まさに精のつく食べ物、鰻。しかも鰻、お肌にもいいらしいですよ。鰻を食べて元気はつらつ、仕事に恋に、前進!
 
 ところで、土用の丑の日に鰻を食べる習慣は日本独自の風習。
 「知ってる。土曜日の鰻、私も好きよ。うなぎおいし〜あの山〜。」と、歌を披露してくれたKちゃん(From台湾)、それ、土曜日ではなく土用。うなぎではなくウサギ。・・・って、土曜日には鰻、っていうキャッチもいいかもね。覚えやすいし。

秋月さやか


参考文献:現代こよみ読み解き事典 岡田芳朗 阿久根末忠著 柏書房
写真:素材事典

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