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占星術概説

12星座宮(サイン)

牡羊座宮  Aries (Ari)   

 この星座宮に太陽がとどまるのは、春分からの約1ヶ月間。北半球では春分を境に、夜より昼が長くなる活動期の始まり。古代、1年の始まりは春分からでした。その記号は、牡羊の角、あるいは発芽した植物の双葉。天空の牡羊座には、目立つ星がないため、古い時代の星図には牡羊座は登場しません。(古くは農夫の姿が描かれていたという説もあります。)

 牡羊座宮のエレメントは火(Ignis)。東から昇る太陽の新しい朝の光。物事の始まりとなる意志をあらわします。

 

牡牛座宮  Taurus(Tau)   

 この星座宮に太陽がとどまるのは、春分と夏至の中間にあたる約1ヶ月間。北半球では地上が緑や花で彩られる時期。牡牛座のアルデバランと昴(プレアデス)は農耕の目印とされた重要な星。昴が日の出前に輝くのを見て種まきの時期を知ったのです。古代においては天の牝牛(イシュタル)、あるいは戦車(御者座)を引く牡牛の姿。古代、牛は使役獣であり、貴重な財産だったのです。

 牡牛座宮のエレメントは地(Terra)。春の湿気と暖かさで、豊かさを生み出す大地。地上における物質的な繁栄を約束します。

 

双子座宮  Gemini(Gem)   

 この星座宮に太陽がとどまるのは夏至前の約1ヶ月間。北半球では、風が草花の種子を結び、人々が活動する時期にあたります。カストルとポルックスの2つの星は、世界各地で対の星とみなされ、双子の男女、あるいは夫婦の姿として天空に描かれました。ギリシャ神話では、死すべき運命の人間の息子カストルと、神の血をひく不死のポルックスという対象的な2人の姿です。それは、他者とのコミュニケーションというテーマをあらわします。

 双子座宮のエレメントは風(Aer)。風は知識であり言葉。他者とのコミュニケーションを通じて広がる意識をあらわします。

 

蟹座宮  Cancer(Can)   

 この星座宮に太陽がとどまるのは、夏至から始まる1ヶ月間。かつて古代エジプトではナイル川の氾濫時期にあたりました。その氾濫時期はシリウスによって告げられましたが、シリウスと共に地平線に昇ってくる星座が蟹座だったのです。古くは水の支配者である亀が描かれ、それが後に蟹になったと考えられます。地上の水の満ち干は、月の満ち欠けに支配されます。それゆえ、月と関連の深い水の生き物が、この星座に描かれるようになったと考えられます。

 蟹座宮のエレメントは水(Aqua)。まさに水が大地を潤すように、心を潤し、さらには生命を生み出し、守り育てる意識をあらわします。

 

獅子座宮  Leo(Leo)    

 この星座宮に太陽がとどまるのは、夏至と秋分の中間にあたる約1ヶ月間。北半球では灼熱の太陽が地上に降り注ぐ時期にあたります。古い星図では水蛇の上に立つ大犬(あるいは獅子)の姿で描かれます。恒星レグルスは、黄道近くに明るく輝くことから、重要な恒星と考えられ、王の運命を司る星(ロイヤルスター)のひとつ。特徴のある星並びから、ごく自然に、獣(獅子)の姿が連想されたのでしょう。

 エレメントは火(Ignis)。熱をもたらす火。まさに夏の太陽のように、勢いにあふれた活動力や、輝かしい存在をあらわします。

 

乙女座宮  Virgo(Vir)    

 この星座宮に太陽がとどまるのは、秋分前の1ヶ月間。この時期の太陽は、北半球の穀物を実らせます。乙女座のα星スピカは麦の穂を意味する星で、麦の収穫を告げるめやす。古代バビロニアでは、穂(シルー)と呼ばれました。この領域に女神の姿を描くことは困難なのですが、穂(シルー)が、後に、種を想像する女神エディン、そしてギリシャ神話のデメテル女神の姿となったのでしょう。

 エレメントは地(Terra)。季節の巡りに従って、植物を育てる大地。それは同時に、大地の分割と季節の区分をあらわし、労働や義務を意味します。

 

天秤座宮  Libra(Lib)    

 この星座宮に太陽がとどまるのは、秋分からの1ヶ月間。秋分を境に昼夜の時間は逆転します。古代、天秤座は蠍座の一部であり、バビロニアの古星図では、蠍の鋏にかけられた死の天秤(ジバニーツ)。それは、収穫された穀物を計る天秤であると同時に、エジプト神話の裁きの女神マアトの魂の善悪を計る天秤を意味していたのかも知れません。

 エレメントは風(Aer)。陸と海との間を行き来する風。それは、2つの意識の間でバランスを取ることや、自他との調和などをあらわします。

 

蠍座宮  Scorpio(Sco)  

 この星座宮に太陽がとどまるのは、秋分と冬至の中間にあたる約1ヶ月間。北半球では、植物が種子を残し、次代に備える時期。恒星アンタレスは、その色が火や血を連想させたことから、戦いの星。その名前はアンチターレス(火星に対抗するもの)。蠍座の星並びは、古代中国では龍に見立てられました。蠍というよりもドラゴンのような生き物が天空に描かれていたと考えたほうがわかりやすいでしょう。

 エレメントは水(Aqua)。底知れぬ無限の水底。牡牛座のαアルデバランが地上の繁栄をもたらすのに対し、蠍座のαアンタレスは、地下冥界における支配者として、生命の秘密を握ります。

 

射手座宮  Sagttarius(Sag)

 この星座宮に太陽がとどまるのは、冬至前の1ヶ月間。北半球では太陽の勢いが弱まっていく時期。射手座はギルガメッシュ叙事詩に登場する蠍人間(生命の秘密を知る者)が原型で、蠍の尾を持った半人半馬で描かれます。中国では、射手座の一部、南斗六星が生を司る仙人とされました。

 エレメントは火(Ignis)。上をめざして燃えあがる火、天の高みに昇った太陽。理想をめざしての冒険や、未知への挑戦をあらわします。

 

山羊座宮  Capricornus(Cap) 

 この星座宮に太陽がとどまるのは、冬至からの1ヶ月間。太陽は冬至で再生し、新旧交代の時期。山羊座の姿は、本来は角のある山羊頭魚尾のキマイラで、下半身が海に、上半身が陸にある姿で描かれます。これは古代バビロニアのエア神の姿。後にギリシャ神話に登場する怪物テュホン。山羊座とは、本来、天の神々に捧げられる犠牲獣を意味していたという説もあります。

 エレメントは地(Terra)。広大な大陸(海底までつながる地盤)。この世界を支える土台をあらわします。

 

水瓶座宮  Aquarius(Aqu)  

 この星座宮に太陽がとどまるのは、冬至と春分の中間にあたる約1ヶ月間。地中海では雨季にあたり、地上に生命の水がもたらされる時期。古いバビロニアの星図では、死を支配する女神グラが命の水の水瓶を持つ姿。流れ出た水瓶の水は、南の魚座のフォーマルハウトに注ぎ込みます。つまり、ここに水瓶が描かれることになったのは、南の魚座フォーマルハウトがあるから、なのです。

 エレメントは風(Aer)。新しい時代の到来、魂の息吹を告げる風。それはつまり、水が状況によって姿を変える変容に似ています。変容し続けることで、新たに保たれる意識。

 

魚座宮  Pisces(Pis)   

 この星座宮に太陽がとどまるのは、春分前の1ヶ月間。新たな春の準備の時期。古代エジプト神話で、燕と魚に姿を変えてオシリスを探したイシスの姿が魚座の原型。アヌニツ(魚神の妻)という古名から、多産を司る豊穣神の姿として、魚が描かれたのでしょう。人魚、あるいは海の神への生贄の再生。

 エレメントは水(Aqua)。羊水、あるいは海水など、命を育む水。水のあらわす感受性や自己犠牲、より大きな影響力(集合無意識)との一体化を意味しています。

 

占術研究家 秋月さやか

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