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占術解説 出生時刻不明の場合の仮時刻の入力

当日12時/日の出時刻/レクティファイ

出生時刻不明の場合の仮時刻の入力について

「当日12時での作成」

出生時刻不明の場合、一般的には当日12時で作成します。
これは、12時が1日の真ん中であるためです。
月は1日24時間の間に約13度移動しますし、水星の移動速度が早い場合には、1日に1.5度ほど移動します。
仮時刻を設定しませんと、惑星の度数を出すことができません。
が、もしも当日の0時にすれば、そこから24時間で月は約13度動きます。
つまり、実際には夜の23時59分に生まれていたとしましょう。月の位置は13度もずれていますから、サインが異なるかもしれませんし、他の惑星とのアスペクトも違ってきてしまいます。

1日の真ん中にあたる12時を仮の出生時刻として入力すれば、もしも夜の23時59分生まれだとしても、その差は6度ほど。というわけで、12時で作成するのです。

12時で作成すれば、太陽は天頂にきますが、そもそも時刻不明の仮時刻ですから、上昇も、天頂も、仮の配置であり、アングルのサインや度数にはまったく意味はありません。

「当日の日の出時刻での作成」

出生時刻不明の場合のホロスコープを描く場合、太陽を日の出の位置にもってくるという手法が用いられていた時代があります。
これですと、太陽はつねにアセンダントにあることになります。
日の出ですからだいたい6時前後、しかし、日の出の時刻は季節によって、場所によって異なります。
日本(東京)の場合、夏至の頃(6/20)の日の出は4:25、冬至を過ぎてしばらくした1/01頃の日の出が6:51です。
日の出時刻を用いる場合、各地の日の出時刻は ↓こちらで調べてから入力してください。

:資料:国立天文台 > 暦計算室 > 各地のこよみ      https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/

しかしこちらもまた、実際にアセンダントに太陽があるかどうかはわかりませんので、アングルには意味はありません。
もしも実際には23時59分生まれでした、という場合、月の度数は9度ほどずれます。逆に、月は日の出の時刻から9度以内にいる、というように考えることもできます。

「レクティファイと仮アセンダント」

出生時刻不明ですか、では「レクティファイ」をすればいいですよ、という人たちもいます。
レクティファイとはRectify、「修正する」「矯正する」という意味です。
占星術では、不正確な出生時刻を正す作業のこと。
システム開発におけるRectify(レクティファイ)は、問題や不具合を修正するツールや作業を意味します。

しかし、このレクティファイ、お手軽に外見の特徴からアセンダントを仮定するだけ、という人たちがいます。
まあ、昔から行われている方法ではあるのですが、的中率はというと、それほど高くはありません。
また、月がサインを変えている日にあたっている場合には、月の移動時間を用いて、移動前と移動後の月のサインから性格を類推します。
しかし、月がサインを変えない日には、この手法は使えません。

この仮のアセンダントのハウス区分中をトランジットしていく惑星の動きが、人生における重要な出来事が起こった時期と一致しているかどうか、という検証をしながら、より絞り込んでいく、それがレクティファイです。が、繰り返し書きますが、そこまでしても、その的中率はそれほど高くはありません。

そもそも、占星術初心者にレクティファイなどできるわけもありません。レクティファイは、中級者以上の知識がないとできないものです。
個人鑑定で、最初にレクティファイを行いましょうか、というような流れになることもあるようですが、私はこれはおすすめしません。外見の特徴からアセンダントを推測して終わり、では、あまりにもレクティファイとしてはおそまつです。

昔の話になりますが、
ある著名な占術家さんが、自信を持ってレクティファイした結果が(注・外見の特徴からのアセンダントサインの推測以外にも、月のサイン移動も併用はしていたようですが)、無残にも違っていた現場に居合わせたことがあるのです。
出生時刻はわからない、と言い張っていた方が、突如、「母親に聞いたら、母子手帳に書いてあるって教えてくれました」ということになり、しかしその時刻は、その著名な占術家さんのレクティファイのアセンダントサインとはまったく異なっていたのです。
「おかしいなあ、あなたの外見からは上昇は○○ですよ、その出生時刻のほうがおかしくないですか?」と、顔をしかめる占術家さん。いや、母子手帳に記載されている、という証拠以上に確かなものがあるでしょうか。まあ、こういうケースも実際にあった、ということです。

つまり、すでに別記事で書きましたが、出生時刻不明の方は、母子手帳を調べてください、法務局に保管されている出生届の閲覧をしてください、ということです。昔、仕事仲間の一人で、出生時刻がわからないので、退行催眠をしてみた、という話を聞いたことがありますが、さて、その結果がどうなったかは聞きそびれました。

外見の特徴でアセンダントを推測するゲームは、まあそれなりに楽しいこともあり、
ご自分である程度、占星術を学んでから「外見が〇〇っぽいからアセンダントは〇〇ね!」と試してみるなら、それはそれでいいのですが、
プロとして活躍している占術家がそのレベルでは困ります。
レクティファイでは、月のサイン移動と併せて、仮アセンダントのホロスコープを5つぐらい作成して比較検証していくべきです。
つまり、朝生まれであるなら、午前4時、午前6時、午前8時の、異なる仮アセンダント3つ、それに、その前後の時間であることも考え、午前2時、午前10時ぐらいまで用い、ツキがサインを変えていたら、その前後のアセンダント2つを加え、つまり、合計7つぐらいのアセンダントを仮定して、それぞれのアセンダントルーラーでの、ハウストランジットで人生に起こるであろう重要なイベントを30年間分検証しながら、絞り込んでいく。レクティファイとはそのぐらい、面倒で手間のかかることなのです。
それに、もしも出生時刻が判明したなら、その時点で、正しい出生時刻でネイタルホロスコープを作ることが可能になりますので、まずは、出生時刻を調べる努力をすることから。
そして、どうしてもレクティファイをしたいなら、ご自分で占星術を学んでなさることをおすすめします。中級者以上の知識があるなら、レクティファイはできます。


占術研究家 秋月さやか

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