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占星イベント2020

星の動きとマンデーン

「2020春分図からマンデーンを読む」

春分 Spring Equinox Ari00 2020/3/20 12:53(JST)

 マンデーン(社会現象)を占うには春分図が必須です。春分の瞬間の惑星の配置は地上(全世界)共通ですが、各国家の首都における上昇度数は各々異なり、また、始原図(注・国家の成立時のチャート)を併せて用いることで、国家特有の現象を占断します。
 
 2020春分図において特徴的なのは、月と金星のスクエア(矩)、そして火星、木星、土星、冥王星のマジョリティ。
 月と金星のスクエア(矩)については、生活における嗜好性の高い食品や廉価な衣服などの普及であり、その過程で発生するさまざまな問題をも含みます。
 火星、木星、土星、冥王星のマジョリティについては、木星、土星のグレートコンジャンクションの予兆と、木星冥王星のコンジャンクション(合)、土星冥王星のコンジャンクション(合)の合体系として考えるべきであり、この1年間の限られた現象ではなく、次のグレートコンジャンクション、つまり20年先まで継続するものとしてとらえる必要があります。国家とは、一定の地域に住む人々を対象とした統治機構ですが、その統治は、宗教的、政治的、時には民族的な制約を含みます。この枠から逃れた人たちが難民です。2018年には世界中の難民はすでに7000万人を超え、2019年も増加傾向にあり、2020年も(たぶん)同様でしょう。世界の人口が77億人ですから、これは約1%にあたります。そして、なんらかの事情で出身国を逃れる人たちの数は増えている、これが世界の現状です。
 
 (昨年もちょっと書きましたが)、流行を占うのは木星というのがマンデーンの定説です。しかし私は、流行は海王星、そこに天王星と木星が関与するのではないかと考えるようになりました。流行が生まれる要素として、まず幻想(期待)があり、そこに新たな変化への欲求(これが天王星)や、人々の消費欲求(これは木星)が絡んでくるのです。海王星は14〜15年サイクルですが、天王星はその半分の約7年サイクルで、7年サイクルぐらいでの大きな流行の流れがあるのではないでしょうか。魚に入った海王星に関しては、宗教的な儀式や御利益(免罪符なども含めて)、儀式的な雰囲気を含んだ芸術などへの関心をあらわし、これについてはどうやら世界的な傾向といえるでしょう。
 
 
【2020年日本の春分図において】
 さて、2020年の日本(Tokyo)における春分図の上昇は蟹(Can)で、上昇支配星は月。月は7Hにあり、7Hはマンデーンでは外交なので、東京オリンピックの開催を考えれば観光業の活性化でしょう。月に対するタイトなアスペクトとしては金星のスクエア(矩)があり、まさに「お・も・て・な・し」ですが、接客スキルをどのように高めるのか、廉価なサービスを(もしくは特別に高価なサービスを)どのように提供するのかについてが課題でしょう。
 すでに書きましたように、月と金星スクエア(矩)は世界的な傾向ですが、日本の春分図においては7Hの月と10Hの金星という配置となり、しかも月は上昇支配星という点において重要です。観光の需要をうけて民泊なども活性化するのでしょうが、競争は苛烈です。
 
 火星、木星、土星、冥王星のマジョリティは、日本の春分図では6H付近となり、土星はディセンダントラインに乗っている状態で、7Hにも影響を与えます。将来の社会を支え、(文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願う)ために、学校教育の必要性があるわけですが、現在の学校制度には幾多の問題があります。
 土星と冥王星のコンジャンクション(合)については、前回、1982年に天秤で発生し、これはゆとり教育(詰め込み教育の終焉)、その前は1947年に獅子で発生した時には戦後の教育基本法が制定され(つまり戦前の教育制度の終焉)となり、2020年の土星冥王星コンジャンクション(合)では、日本の学校制度や入試試験などのそれまでの仕組みが終わると考えてよいでしょう。公立学校離れはかなり前から起こっていますので、義務教育が国家のため(文化的な国家をさらに発展させるため)の教育であった時代が終わるのでしょう。施される教育の枠内に収まらない教育難民、もしくは就職難民の問題も深刻化します。
 
 
【グレートコンジャンクションについて】
 2020年冬至に木星土星のグレートコンジャンクションが水瓶で発生。年明けから接近して輝いている土星と木星ですが、ぴったりコンジャンクションになるのは冬至の8時間ほどあとで、どちらも順行なので、木星が土星を追い抜く形です。
 グレートコンジャンクションは約20年に一度のサイクルで起こる占星イベントで、2000年に牡牛で、1980年に天秤で。そして約60年前、1961年には山羊でのグレートコンジャンクションがありましたが、1960年は「アフリカの年」と呼ばれ、植民地支配下にあったアフリカの地域が次々と独立しました。カメルーンをはじめ、セネガル、マダガスカル、コンゴ、ナイジェリア、モーリタニアなどなど、そして南アフリカ共和国の独立が1961年。では、2020年のグレートコンジャンクションではなにが起こるのかということになるわけですが、サイン山羊がサイン水瓶になるとしても、植民地支配からの脱却としての独立という流れは当然、あるでしょう。
 民族イコール国家の時代は終わりつつあります。現代社会において、国とは社会保障提供組織と考えることが適切なのかもしれません。となると、日本における社会保障、年金問題はどのように考えるべきなのでしょうか。日本の2020年春分図における太陽は8Hですが、8Hには、保障という意味合いもあるのです。
 
 なお、1800年〜2000年までのグレートコンジャンクションは、おもに地の星座宮で発生しているのですが、2020年からは風の星座宮に移行します。(2040年のグレートコンジャンクションは天秤において)。過去200年間の地の星座宮におけるグレートコンジャンクションは、所有(土地や物質)などが経済の流れを大きく動かしてきた時代であること、しかし2020年以降は情報や知識(ただしそれが既成の知識であるとは限らず、新たな概念や情報伝達の仕組み)によって経済の流れが大きく変化する時代へと移行していくということです。2020年、グレートコンジャンクションに対し、天王星はスクエア(矩)ですから、急激な時代変化を体験することになるでしょう。
 
 
【国家始原図について】
 始原図とは国家の出生チャートで、一般に日本始原図に用いられるデータは大きく2つあります。1つは1889年2月11日、大日本帝国憲法発布時、もう1つは1946年10月7日、日本国憲法が可決された日時で、これらは多くの占術家が用いているものです。しかし私は、日本国憲法可決より、1947年5月3日のほうが重要なのではないかと思うようになりました。
 それは、誕生とは、胎内にいる状態ではなく、この世に誕生し、現世での生活をスタートする瞬間であるとの理由からです。議会での可決はまだ胎内にいるような状態で、それは施行されてはじめて世の中に影響を与えるものでしょう。施行は1947年の5月3日ですが、この施行日の決定理由というのがいかにも日本的で、まず、公布日の11月3日は明治節(明治天皇の誕生日)に由来し、これから半年ぐらいたっての施行とすれば5月ぐらいが適切であろう、5月1日でも5月5日でもよいのだが、同時にどちらも適切とは思われず、その間の5月3日にしたというような(つまり無難な日を選んだという)事情があったようです。
 
 しかし、始原図において多くの占術家が問題にしているような時間の設定は重視しない方向で、大惑星の位置に注目すべきかと思います。国家は個人ではありませんので。日本のように歴史の長い、そして状況が特殊な国家には、アメリカ合衆国の独立記念日のようなものはありません。サンフランシスコ対日講和条約調印時、つまり1951年9月8日についての解釈をどうするのかも難しいところです。このあたりは各占術家によって見解は異なり、どれが正しいというわけでもなく、まあ、このようにいろいろな考え方があるのだと思っていただければよいでしょう。
 
 1947年5月3日、木星は蠍24で土星は獅子02の配置です。この蠍24、獅子02は、日本の春分図を読むうえで、重要なポイントとなります。2020年の日本の春分図についていえば、天王星は牡牛04にあり、1947年5月3日の土星(獅子02)とはスクエア(矩)、もちろん、すでに春分より前にトランジットの天王星は牡牛02に達し、73年前の土星にスクエア(矩)をとります。(ちなみに、天王星が水瓶02付近を通過したのは1996年で、その前年の1995年の出来事については検索してください。)
 ここで天王星の役割について確認です。天王星とは改革です。ですが、どこかの占星術の解説書に書かれているような、唐突でエキセントリックな性質の象徴ではありません。天王星の改革はつねに、長く続きすぎた伝統の弊害の中から(反発するように)発生するものなのです。
 
 
 おわりに。毎年書いていることなのですが、占星術とは星の配置によって地上の運勢を読みとる術です。しかしそれは「星の配置に地上の運勢が左右される」ことではありません。地上の動きを知らなければ、天を仰いでも何もわかりません。私の師同然であったルル・ラブアさんは、「新聞を読みなさい、経済学を勉強しなさい、世の中を知りなさい、でなければマンデーンはできない」とアドバイスをくださいました。
 占星術を学んだだけで、株で勝てたりはしませんし、政治家の胸の内がわかるわけでもありません。占星術は予兆を読みとるもので、予兆を追いかけるのがオカルティストと称される人々です。ですが、オカルティストは占い師であるとは限りません、科学者、政治家、そして芸術家かも知れません。ただし、オカルト理論にはおおいなる勘違いもたくさん含まれています。99の瓦礫とたった1つの原石。そのぐらいの比率かとは思いますが、マンデーンから役立つ何かをひとつでも読みとっていただければ幸いです。

秋月さやか

2020マンデーン

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