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入梅と梅干の関係性?!

狐と狸がここだけ占い話

 じめじめと雨が降り続くある日のこと。鎮守の森の裏山にある狸穴の中。

画像:coon

狐(きつね)「お〜い、たぬきいるかあ?」
狸(たぬき)「あ、きつねか。まあ、入れや。散らかっているけど。」
狐(きつね)「毎日じめじめして嫌だな〜。ほら、焼酎だ。」
狸(たぬき)「おお、ありがたい。どれ、つまみを出そう。たしかここらにするめがあったと思うんだが・・・。(ごそごそ・・・)」
狸(たぬき)「あれ、なんだこれ、緑色になってんの。カビが生えちゃったよ〜。もったいない。」
狐(きつね)「うん、この雨だからな。空気中の湿気が増えて、乾物は湿っちゃうんだよ。」
狸(たぬき)「たしかタクアンがまだあったっけな。意外とイケるんだ。ええっと、このあたりに・・・。(ごそごそ・・・)」
 
狸(たぬき)「あれ、これはひどい。タクアンも腐ってるよ〜。うう、酸っぱくって変なにおい。食えるかな?」
狐(きつね)「やめとけ。しかし、タクアンが腐るって、それは珍しいな。」
狸(たぬき)「そうだろ、大切にとっておいたのに。」
狐(きつね)「まあ、入梅だからなあ。カビもバイキンも大活躍よ。」
狸(たぬき)「ニューバイ? ニューバイってなんだ? 新しく黴菌(バイキン)が生まれる季節とか?」
 
狐(きつね)「上田秋成翁は黴雨(ばいう)と書いておられるからな、まさにカビを生じる雨だ。でも、一般には梅雨。梅雨の入りを入梅。」
狸(たぬき)「ウメ? ああ、新しい梅が実る時期だからNew梅なんだな?」
狐(きつね)「・・・」
狸(たぬき)「そういえば、梅干がどっかにあったっけ。去年の古いやつな。オールド梅。(ごそごそ・・・)」
 
狸(たぬき)「梅干は腐ってないぞ。う、すっぱ〜!」
狐(きつね)「うん、梅干って腐りにくいからな。」
狸(たぬき)「なんで腐らないんだ?オールド梅だからか?」
狐(きつね)「梅酢と塩の防腐作用。だからおにぎりに梅干しを入れるのよ。」
狸(たぬき)「ふ〜ん。おにぎり食べたくなっちゃったな〜。焼きおにぎり作ろうっと。」
狐(きつね)「焼きおにぎり、うん、いいな。腐りにくいからな。梅雨はいろいろな物が腐りやすくなるからな、気をつけろよ。」
狸(たぬき)「食べ物だけじゃないよ、こう毎日毎日雨ばかりだと、気分が腐っちゃうよな。ま、俺は男だからいいけどさ。」
狐(きつね)「?」
狸(たぬき)「女だったら腐女子になっちゃうよな〜。」
狐(きつね)「・・・」
 
狐(きつね)「しかしな、雨が降るから田植えができるんだぞ。」
狸(たぬき)「ああ、田んぼに水がないと稲が育たないからな。おにぎりもできないよな。」
狐(きつね)「昔は、梅雨の頃が田植えの時期だったのよ。」
狸(たぬき)「あれ、雨がやんだぞ。蛍が飛んでる。きれいだな〜。」
狐(きつね)「なるほど、腐草為蛍(ふそう、ほたるとなる)だな。」

注釈・梅雨は夏至の前後の長雨をいう。梅雨の入りを入梅。古くは芒種の後の壬の日から入梅とされた。昔は、入梅後に田植えを行った。

「狐と狸がここだけ占い話」は不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。

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